税金の納付額が少しずつ上がっていく様子

税金を法人が納付する方法とは?納付期限から納税方法のおすすめまで詳しく解説

会社を設立して初めての決算を迎えたけれど、納税方法や納付期限がよくわからず困っている人はいませんか?

この記事では、中小企業を経営する人が知っておきたい税金の納付方法から納付期限まで詳しく解説します。

法人が納付する税金の種類

法人が納付する税金の種類の1つである消費税

税金を法人が納付する方法について知る前に、法人が納付する税金の5つの種類についてご紹介します。

根拠となる法律概要納税義務者納付先
法人税法人税法事業で得た収益に対して課税される①普通法人・株式会社・有限会社・合資会社・合名会社・相互会社・協業組合・医療法人・日本銀行・労働組合・管理組合②協同組合など・労働者協同組合・農業協同組合・生活協同組合・漁業協同組合・信用金庫・国
法人事業税地方税法・法人が事業活動をするにあたって利用する行政サービスの経費の1部を負担するため、事業活動に対して課税される・地域に事務所や事業所を設けて事業をしている法人・人格のない社団や財団で収益事業を行い、法人とみなされるもの・国
法人道府県民税地方税法・地域社会にかかる費用について個人同様負担を求め、資本金等の額、従業者数に応じて定額が課される均等割、法人税額に応じて課される法人税割がある・地域に事務所事業所のある法人・収益事業を行う人格のない社団や財団・(均等割のみ)寮、保養所、宿泊所、クラブなどをもつ法人や収益事業を行わない公益法人・特定非営利活動法人など・都道府県
法人市町村民税地方税法・同上・同上・市町村(所在地が東京都23区内の場合は都民税に含める)
消費税消費税法・消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して公平に課税され、消費者が負担し事業者が納付する・課税期間(事業年度)の基準期間(個人事業者は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超える事業者・国

5つの税金の納付先は国、都道府県、市町村にそれぞれわかれているので注意しましょう。

税金を法人が納付するために必要な手続きの方法

税金を法人が納付する時に必要な確定申告

法人税、消費税、法人事業税、法人道府県民税、法人市町村民税は税金の種類ごとに納税方法が異なるため、それぞれご紹介します。

法人税

法人税を納付する期限、法人税の税率、法人税の申告方法についてそれぞれ解説します。

期限

法人税の確定申告は原則として各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出する必要があります。

事業年度とは決算をするために使われる1年間の区切りのことで、もし2023年4月1日に会社を設立したとすると、設立日から2024年3月末日までを設立1期の事業年度として数えていきます。

そのため上記の場合、確定申告の締め切りは2024年4月1日から2ヵ月以内です。

納付しなければならない税金があれば、確定申告書の提出期限までに納付する必要があるため注意しましょう。

税率

法人税の税率は次の表の通りです。

区分適用する開始事業年度
2016年4月1日以後2018年4月1日以後2019年4月1日以後
普通法人資本金1億円以下の法人など年800万円以下の部分下記以外の法人15%15%15%
適用除外事業者19%
年800万円を超える部分23.4%23.2%23.2%
上記以外の普通法人23.4%23.2%23.2%
協働組合など年800万円以下の部分15%15%15%
年800万円を超える部分19%19%19%
公益法人など公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人、特定労働者協同組合年800万円以下の部分15%15%15%
年800万円を超える部分23.4%23.2%23.2%
みなし公益法人など(特定非営利活動法人、 認可地縁団体など) 年800万円以下の部分15%15%15%
年800万円を超える部分23.4%23.2%23.2%
上記以外の公益法人など年800万円以下の部分15%15%15%
年800万円を超える部分19%19%19%
人格のない社団など年800万円以下の部分15%15%15%
年800万円を超える部分19%19%19%
特定の医療法人年800万円以下の部分下記以外の法人15%15%15%
適用除外事業者19%
年800万円を超える部分19%19%19%

法人の種類と事業年度によって税率が変化するので注意しましょう。

申告

法人税の申告には確定申告と中間申告の2種類が必要なため、それぞれの違いと手続きの方法をご紹介します。

期限必要書類
確定申告・各事業年度終了日の翌日から2か月以内・納付しなければならない税金があれば確定申告書の提出期限までに納付する①確定申告書
②貸借対照表と損益計算書 
③株主資本等変動計算書、もしくは社員資本等変動計算書か損益金の処分表
④貸借対照表および損益計算書にかかる勘定科目内訳明細書
 ⑤事業等の概況に関する書類(完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図を含む)
⑥合併契約書、分割契約書、分割計画書その他これらに類するものの写し
⑦組識再編成にかかる主要な事項の明細書(組織の再編成を行っていなければ⑥と⑦は不要)
中間申告・事業年度開始日以後6か月を経過した日から2か月以内・納付しなければならない税金があれば中間申告書の提出期限までに納付する・中間申告書

中間申告とは事業年度の中間点に法人税を納めるための手続きを指しますが、「前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)」と「仮決算に基づく中間申告」の2種類があり、どちらかを選ぶことができます。

また災害などのやむを得ない理由があって法人の決算が確定できない場合、確定申告の申告期限を延長することもできるため、詳細は国税庁のホームページから確認してみましょう。

参考:国税庁「令和4年版 法人税のあらましと申告の手引」

消費税

消費税の納付期限、申告方法についてそれぞれ解説します。

期限

課税期間(法人の場合事業年度)終了日から2ヵ月以内に確定申告書を提出します。

法人税の申告期限の延長をすることとなった法人が所轄の税務署長に「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合は期限が1ヵ月延長されるため、詳細は国税庁のホームページから確認してみてください。

申告

消費税の確定申告書は次の手順で行います。

①課税標準額と消費税額の計算

②控除対象仕入税額などの計算

③納付税額の計算

④納税地欄、付記次項欄の記載

国税庁のホームページに申告書の書き方が掲載されてあるため、初めて申告をする人はそれを見ながら行うのがよいでしょう。

また消費税の確定申告書は国税庁のホームページで個人事業者用と法人用が並べて掲載されているため、間違えて個人事業者用の書類に記載してしまわないよう注意が必要です。

参考:国税庁「No.6610法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」

参考:国税庁「パンフレット・手引」

法人事業税

法人事業税の納付期限、税率、申告方法についてそれぞれ解説します。

期限

法人事業税は地方税に分類されるため、納付期限は会社のある地方自治体のホームページで確認しましょう。

例えば埼玉県では申告期限が「事業年度が終了した日から2か月以内」、納税期限が「申告期限と同じ」となっています。

参考:埼玉県「1.県税の申告と納期」

税率

法人事業税の税率も納付期限と同じく地方自治体のホームページで確認しましょう。

例えば埼玉県では事業の種類や法人の区分、事業年度により税率が変わります。

申告

法人事業税の申告書は各地方自治体のホームページに所定の申告書と書き方が掲載されているため、それに則して記載するようにしましょう。

例えば埼玉県では最新版として令和4年版の「記載の手引」がホームページに掲載されているため、そのルール通りに記載して申告する必要があるということです。

参考:埼玉県「法人県民税・法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税関係様式(申告書・別表)その1」

法人道府県民税

法人道府県民税の期限、税率、申告方法についてそれぞれ解説します。

期限

法人道府県民税も法人事業税と同じく地方税に分類されるため、納付期限は会社のある地方自治体のホームページで確認しましょう。

例えば神奈川県であれば、中間申告と納税の期限が事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内、確定申告と納税の期限が事業年度終了の日から2か月以内です。

税率

法人道府県民税の税率も納付期限と同じく地方自治体のホームページで確認が必要です。

例えば神奈川県では、「神奈川県における法人県民税・事業税の税率および特別法人事業税または地方法人特別税の税率」というページに各事業年度の税率表が記載されているため、そこから確認できます。

参考:神奈川県「神奈川県における法人県民税・事業税の税率および特別法人事業税または地方法人特別税の税率」

申告

法人道府県民税の申告書は各地方自治体のホームページに所定の申告書と書き方のマニュアルが掲載されているため、それに則して記載するようにしましょう。

例えば神奈川県では中間申告と確定申告を行う必要があり、それぞれに使う申告書は「申請・届出様式ダウンロード」というページからダウンロードできます。

参考:神奈川県「申請・届出様式ダウンロード」

法人市町村民税

法人市町村民税の期限、税率、申告方法についてそれぞれ解説します。

期限

法人市町村民税は地方税に分類されるため、納付期限は会社のある地方自治体のホームページで確認しましょう。

例えば横浜市では、中間申告と納税の期限が各事業年度開始日から6か月を経過した日から2か月以内、確定申告と納税の期限が各事業年度終了の日の翌日から2か月以内となっています。

税率

法人市町村民税の税率も納付期限と同じく地方自治体のホームページで確認しましょう。

例えば横浜市では均等割、法人税割それぞれの場合の税率が「法人の市民税」のページに記載されています。

申告

法人市町村民税の申告書は各地方自治体のホームページに所定の申告書と提出先、記載の手引きなどが掲載されているため、確認して記載しましょう。

例えば横浜市では「申請書等様式・手引き(法人市民税に関するもの)」のページに申告書や必要書類が掲載されていますが、一部の様式しか掲載がないため掲載がないものに関しては財政局法人課税課法人市民税担当で配布しているものを使う必要があります。

参考:横浜市「法人の市民税」

税金納付方法

税金の納付方法の1つであるe-TAX

税金の納付方法は複数あり、便利なツールもあるので、それぞれの特徴をご紹介します。

項目対応している税金概要メリット中小企業におすすめの納付方法
電子納税ダイレクト納付・国税
・地方税
・国税ならe-Tax、地方税ならeL-Taxの利用開始手続をする・事前に税務署か利用する金融機関にダイレクト納付利用届出書を提出する(利用開始まで1ヵ月程度かかる)・納税者の講座から即時または指定した期日に口座引落しにより納付できる・窓口に行かなくても納付できる
Pay-easyに対応するインターネットバンキングやATMを使った納付・国税
・地方税
・e-TaxかeL-Taxの利用開始手続をする・事前に納付情報を登録または入力する・使い慣れたインターネットバンキングやATMから納付できる
クレジットカード納付・国税
・地方税
・クレジットカードを利用して納付する・クレジットカードの利用手数料がかかる・クレジットカードの引き落とし日までにお金が準備できれば納税できる
スマホ納付(QRコード決済)・国税・「国税スマートフォン決済専用サイト」から納付する・税額が30万円以下の場合のみ利用できる・コンビニで用事を足すタイミングで納税できる
電子納税以外窓口現金納付・国税
・地方税
・税務署や金融機関の窓口で、現金に納付書を添えて納付する・現金でその場で納付できる

中小企業の場合キャッシュレス納付を選ぶと、納税にかかる時間や手間を大幅に削減できるでしょう。

参考:国税庁「税金の納付」

株式会社KAKERUでは正しく納税をする中小企業の皆様を応援しています

株式会社KAKERUでは法律に則り正しく納税を行う中小企業の皆さんを応援しています。

今までの内容でご紹介した通り、法人においてはどの税金を納付するにもそれなりに時間や手間がかかります。

しかし、企業がそのビジョンをかなえていく段階で得た会社の業績にかかる税金は、しっかりと納付しなければそれぞれの企業における社会的責任を果たすことにはつながりません。

株式会社KAKERUでは提携税理士にお繋ぎすることにより、税金に関するお悩み解決にもご対応可能です。

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まとめ

法人が納付する税金は法人税、消費税、法人事業税、法人道府県民税、法人市町村民税の5種類で、それぞれ納付期限や申告方法が異なります。

この記事も参考にして、ぜひ自社に合った方法で納付を行ってみてください。