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バックオフィス業務とは?定義から中小企業における効率化の手法まで詳しく解説

スモールビジネスを展開していて本業に注力したいけれど、バックオフィス業務に手間や時間を取られてしまい、いまいち自分の思い通りにビジネスが進まないと悩んでいる人はいませんか?

この記事ではバックオフィス業務の定義から効率化の手法まで詳しく解説します。

バックオフィス業務とは?

バックオフィス業務の1つである決算報告書の作成

バックオフィス業務とは、直接顧客対応をして企業の利益を生み出すフロントオフィス業務を後方から支援する業務のことを指します。

企業内では主に、次の部門でバックオフィス業務が行われることが多いでしょう。

部門名仕事の概要
経理・財務・収支管理、決算、年末調整、税務申告、資金計画の策定、資産運用などを行う
人事・労務・人事制度の策定、採用、教育、評価、異動、労働管理などを行う
法務・契約書のリーガルチェック、コンプライアンス対応、トラブルへの法的対応などを行う
総務・社内規定の整備、設備や備品の管理、福利厚生、株主総会や取締役会の運営などを行う
情報システム・基幹システムの運営、セキュリティ対策などを行う

表を見渡してみると、バックオフィス業務は企業にとっての経営資源である「ヒト」「カネ」「モノ」「情報」を管理していることがわかります。

バックオフィス業務がスムーズに行われることで、企業の持つ経営資源を最大限活用できるようになるため、バックオフィス業務の重要性は高いとされるのです。

中小企業においてバックオフィス業務効率化が注目される背景

中小企業にも求められる「働き方改革」

中小企業においてバックオフィス業務の効率化が注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

中小企業における人手不足が続いていること

2022年に中小企業庁が発表した「2022年版小規模企業白書」によると、中小企業における従業員数過不足DI(従業員が過剰な企業の割合から不足な企業の割合を引いた数)は業種別で次のように推移していることがわかりました。

2010年第1四半期2015年第1四半期2020年第1四半期2021年第1四半期2022年第1四半期
建設業6.8%-21.7%-37.6%-31.2%-32.6%
製造業11.7%-9.1%-11.9%-3.7%-16.9%
卸売業8.4%-5.4%-13.6%-1.6%-9.1%
小売業0.4%-6.9%-11.2%-6.8%-8.6%
サービス業1.4%-15.2%-20.7%-9.2%-15.3%

近年ほぼ全ての業種で従業員数過不足DIがマイナスとなり、中小企業における人手不足が続いていることからバックオフィス業務の担い手も不足し、効率化に向けて舵を切るのも当然の成り行きだと言えるでしょう。

参考:中小企業庁「2022年版 小規模企業白書(HTML版)」 

中小企業にも働き方改革が求められていること

働き方改革とは、働く人たちが個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革で、2019年4月から始まり、「働き方改革関連法」などの法整備も徐々に進んできています。

厚生労働省が運営する「働き方改革特設サイト」では、日本における国内雇用の70%を担う中小企業に向けて、働き方改革を着実に行うことが大切だと伝えています。

厚生労働省が推進する、中小企業における働き方改革のポイントは次の3つです。

・魅力ある職場作りが人手不足の解消につながるため、生産性向上に加え職場環境の改善を行うことが必要

・働き方改革は意識の共有がしやすい中小企業の強みを活かせる

・「魅力ある職場作り」→「人手不足の解消」→「業績の向上」→「利益の向上」という好循環を作るためにも働き方改革に取り組むのは大切である

ポイントの1つめには「生産性向上」が挙げられているため、中小企業がバックオフィス業務の効率化をすると、働き方改革にもつながるというわけです。

参考:厚生労働省「働き方改革特設サイト 支援のご案内 働き方改革のポイントをチェック!」

中小企業でもDXを推進するようになったこと

2018年に経済産業省が「DX推進のためのガイドライン」を策定して以来、少しずつ世の中に浸透してきているDXですが、これは中小企業においても例外ではありません。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が2022年5月に発表した「中小企業のDX推進に関する調査」において、全国の中小企業1,000社を対象にアンケート調査を行った所、DXへの取組状況は次のような結果でした。

既に取り組んでいる取り組みを検討している必要だと思うが取り組めていない取り組む予定はない
製造業10.6%18.6%34.8%36.0%
建設業4.0%12.0%31.0%53.0%
卸売業3.0%18.0%32.0%47.0%
小売業4.0%12.0%39.3%44.7%
サービス業(情報通信)14.0%20.0%36.0%30.0%
サービス業(宿泊・飲食業)0%16.0%26.0%58.0%
サービス業(その他)12.0%20.0%28.0%40.0%

DX推進のためのガイドライン公表後わずか4年で、中小企業においても既に取り組んでいたり、取り組みを検討したりしている企業が合計で20%~30%前後まで伸びてきているのが現状なのです。

また既にDXに取り組んでいる企業に具体的な取り組み・検討内容についてたずねた所、次のような結果が出ました。

具体的な取り組み・検討内容割合
ホームページの作成47.2%
営業活動・会議のオンライン化39.5%
顧客データの一元管理38.3%
文書の電子化・ペーパーレス化37.5%
電子決済の導入35.9%

取り組み・検討内容の上位5つのうち、4つまでがバックオフィス業務の効率化につながる内容だったのです。

これらのことから中小企業がDX推進をすると、バックオフィス業務の効率化が自然に進むのがわかります。

参考:経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」

参考:中小機構「中小企業のDX推進に関する調査」 

中小企業でバックオフィス業務を効率化するメリット

バックオフィス業務を効率化するメリットの1つはコスト削減

中小企業でバックオフィス業務を効率化するメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

5つご紹介します。

コスト削減

バックオフィス業務を効率化することで工数や業務量を減らせるため、人件費を削減できます。

またシステムを導入しペーパーレス化を推進することで、印刷代や管理費用も削減できるでしょう。

生産性の向上

バックオフィス業務を効率化すると、中小企業において重要視したい生産性を向上させることができます。

例えば、フロントオフィス業務とバックオフィス業務を兼任している人が、バックオフィス業務としてデータ入力を行っていた場合、それを自動化することでその人がよりお金を生み出すフロントオフィス業務に集中できるようになるでしょう。

ヒューマンエラーの防止

手作業の割合が多いバックオフィス業務をシステムで行い効率化することで、ヒューマンエラーが防止できるようになります。

今までヒューマンエラー防止のためにダブルチェックなどを行っていた場合は、それにかけていた時間も削減できます。

ワークライフバランスの向上と離職率の低下

バックオフィス業務を効率化することで、それに携わる従業員のワークライフバランスが向上し、離職率が低下します。

2021年に厚生労働省が発表した新規学卒就職者の離職状況を見ると、事務所規模が小さくなるほど3年以内離職率が上がっているのがわかります。

高校大学
5人未満61.9%56.3%
5~29人52.8%49.4%
30~99人44.1%39.1%
100~499人35.9%31.8%
500~999人30.0%28.9%
1,000人以上25.6%24.7%

バックオフィス業務を効率化すると今まで手作業で行っていた業務に時間が取られなくなるため、従業員が残業をしなければならない状況も減少するでしょう。

その結果従業員のワークライフバランスは良くなるため、中小企業において新規学卒者の離職の原因を1つ減らせることとなるのです。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」

ES(従業員満足度)の向上

バックオフィス業務を効率化すると業務内容や労働環境の改善につながるので、ES(従業員満足度)も向上しやすくなります。

近年中小企業においては、ESを向上させて企業の成長につなげる取り組みが注目されているため、一石二鳥と言えるでしょう。

中小企業でバックオフィス業務を効率化する方法

中小企業でバックオフィス業務を効率化する方法の1つがRPA

中小企業においてバックオフィス業務を効率化するには、どのような方法があるのでしょうか。

3つご紹介します。

クラウドサービスの導入

中小企業において、自社で業務に携わりつつ効率化を促進したい場合はクラウドサービスの利用がおすすめです。

クラウドサービスの利用で効率化できるバックオフィス業務には、次のようなものがあります。

・勤怠管理

・給与計算

・請求書発行

・社内稟議の申請

・契約書や帳票などの保管

クラウドサービスの導入で複数の業務を同時に進められるといった業務の効率化だけではなく、ペーパーレスの推進、リモート業務の導入などもできるようになるでしょう。

RPAの導入

中小企業においてバックオフィス業務を効率化したい場合はRPA(デスクワークなどにおける定型作業を、ソフトウェア型のロボットが代行・自動化する技術)の導入もおすすめです。

2022年に株式会社MM総研が発表した「RPA国内利用動向調査 2022」によると、RPA導入率は年商50億円以上の企業で45%と、前回調査の2021年から8%上昇しましたが、年商50億円未満の企業では導入率12%と、前回調査から2%しか伸びていないことがわかったのです。

このことから中小企業において今RPAを導入しておけば、バックオフィス業務の処理速度を同業他社と比較して大きく早めることができるため、将来的にお客様への商品やサービスについても差別化できる可能性が高まると言えるでしょう。

参考:株式会社MM総研「RPA活用有無がビジネスプロセス自動化に格差を生む」

チャットボットの導入

中小企業において問い合わせ業務やカスタマーサポートを効率化したいなら、チャットボット(ユーザーからの質問に自動で返答してくれるプログラム)の活用がおすすめです。

チャットボットなら24時間365日問い合わせに対応でき、ナレッジや顧客データを蓄積してマーケティングに活かすこともできます。

株式会社KAKERUではスモールビジネスにおけるバックオフィス業務の効率化をサポートしています

自宅でバックオフィス業務に取り組む若い男性

株式会社KAKERUではスモールビジネスにおけるバックオフィスの効率化をサポートしています。

株式会社KAKERUが経営のコンサルティングを行っているにもかかわらず、直接的に収益につながるわけではないバックオフィス業務に着目しているのには、バックオフィス業務には次のような性質があると考えているためです。

バックオフィス業務というのは事業遂行上必須の仕事のため効率的に行うことが重要ですが、前の項目でもご紹介した通りナレッジや顧客データの蓄積も可能なため、経営方針決定の時に用いる重要な情報を得られる可能性も高いと言えます。

このため株式会社KAKERUでは柔軟性とスピード感が強みであるスモールビジネスにおいてこそ、バックオフィス業務の効率化に目を向けてほしいと考えているのです。

株式会社KAKERUではスモールビジネスに取り組み、バックオフィス業務を効率化したいと考えている方が依頼しやすいよう、支援業務の範囲を柔軟に設定することもできるようにいたしております。

興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせください。

”〇〇”がさらに楽しくなる仕掛けを創る – 株式会社KAKERU (kaxeru-office.com)

まとめ

オフィスで長机に座りバックオフィス業務に取り組む若い女性

バックオフィス業務とは、直接顧客対応をして企業の利益を生み出すフロントオフィス業務を後方から支援する業務のことを指し、スムーズに行われることで企業の持つ経営資源を最大限活用できるようになります。
この記事も参考にして、ぜひバックオフィス業務の見直しをすすめ、自分のビジネスの成果を最大限に挙げられる環境作りに取り組んでいってください。