人事評価で5人の中から1人選んで赤丸をつける

人事評価とは?人事評価方法の種類から基準の作り方まで詳しく解説

立ち上げたスモールビジネスが順調なので、今後従業員を雇用する予定だけれどどのように人事評価をすればよいのかわからず困っている人はいませんか?

この記事では、人事評価方法の種類から人事評価基準の作り方まで詳しく解説します。

人事評価とは?

さまざまな角度から人事評価を受ける人

人事評価とは人事施策の1つで、一定の期間における従業員の業績、勤務態度、能力をその会社で定めた基準で評価することです。

人事評価の結果は報酬、昇進、昇格などの人事査定、人材配置、能力開発などに活用されます。

人事評価を公平性、客観性、透明性、納得性のあるものにすると、従業員が受け入れやすく、モチベーションの維持にもつながるでしょう。

人事評価と人事考課の違い

人事考課の結果で決まった給料が入っている給料袋と給与明細書

人事評価と混同されやすい言葉に人事考課がありますが、この2つはどのような違いがあるのでしょうか。

表にまとめてみました。

項目定義目的特徴
人事評価・人事施策の1つで、一定の期間における従業員の業績、勤務態度、能力をその会社で定めた基準で評価すること・給与や賞与、昇進の決定といった処遇の決定・能力開発など従業員の育成・能力を見極め適材適所での人材配置・内容や基準をオープンにして透明性の高い運用をする
人事考課・人事施策の1つで、一定の期間における従業員の業績、勤務態度、能力をその会社で定めた基準で評価すること・給与や賞与、昇進の決定といった処遇の決定・役員や役職クラスでクローズドな運用をする

広義の人事評価の中に、処遇の決定という狭義の人事考課が含まれると考えるとわかりやすいでしょう。

スモールビジネスにおける人事評価の実態

人事評価について話し合う4人のビジネスマン

スモールビジネスにおける人事評価の実態とはどのようなものなのでしょうか。

2021年2月に株式会社あしたのチームが、全国の従業員数5名以上300名未満で人事評価制度を導入している企業の経営者300名を対象に行った、「人事評価制度運用に関する調査」を参考に見ていきましょう。

人事評価制度の見直し・改訂

「人事評価制度運用に関する調査」において直近で人事評価制度を改訂した時期についてたずねた所、次のような結果となりました。

人事評価制度を改訂した時期割合
2020年~2021年11.0%
2017年~2019年10.0%
2014年~2016年8.0%
2011年~2013年7.0%
2010年より前24.0%
わからない・覚えていない14.0%
改訂していない26.6%

また人事評価制度の見直しをする頻度は次の通りでした。

人事評価制度の見直しをする頻度割合
3ヵ月に1回程度以上4.0%
3ヵ月に1回程度1.0%
半年に1回程度20.0%
1年に1回程度28.0%
2年に1回程度4.0%
3年に1回程度10.0%
それ以下の頻度21.0%
わからない・見直していない12.0%

人事評価制度の見直しを半年~1年に1回程度行う企業が48.0%ですが、改訂をしたのが2010年より前の企業が24.0%、改訂していない企業が26.0%なので、見直しは積極的に行うものの改訂には結び付いていない現状がうかがえます。

人事評価制度に期待する効果

人事評価制度に期待することと、期待することの中で効果を感じているものについてたずねた所、次のような結果が出ました。

人事評価に期待すること効果を感じているもの
従業員のモチベーション向上83.0%59.0%24.0%
優秀人材採用・離職防止54.0%32.0%22.0%
生産性・業績アップ53.0%34.0%19.0%
従業員の自発的行動の促進51.0%29.0%22.0%
人材育成47.0%21.0%26.0%

人事評価制度に期待することと実際の効果には20~25%ほどの差があり、人事評価制度に何らかの課題を抱えている企業が一定数あるのがわかります。

人事評価の運用がうまくいくことの効果

人事評価制度が組織や従業員に良い影響を与えていると思うかどうかたずねた所、次のような結果でした。

人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えていると思う人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えているとやや思う人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えているとあまり思わない人事評価制度が組織や社員に良い影響を与えていると思わない
人事評価制度に満足している64.3%28.6%7.1%0.0%
人事評価制度にやや満足している21.1%77.2%0%1.8%
人事評価制度にあまり満足していない8.7%69.6%17.4%4.3%
人事評価制度に満足していない16.7%16.7%66.7%0.0%

経営者は、人事評価制度に満足しているほど組織や従業員に良い影響を与えていると考えているのがわかります。

人事評価運用の課題

人事評価で難しいと思うことは何かをたずねた所、次のような結果となりました。

人事評価で難しいと思うこと割合
明確な評価基準を設定すること52.3%
数値的目標のない職種(間接部門など)の評価41.9%
達成した状態が不明な抽象的な目標に対する評価39.5%
評価者(管理職)による甘辛のばらつきを正すこと34.9%
働きぶりを知らない社員の評価19.8%

明確に基準を設けるのは大切だとわかっていても、自社に合った基準の設定を難しく感じている人が多いと言えるでしょう。

参考:あしたのチーム「人事評価制度 “放置”企業が47.0% 実態と制度がミスマッチ? 人事評価制度の満足度が組織・社員に影響 評価しにくい目標NGワード1位『できるだけ』2位『努力する』3位『頑張る』~人事評価制度運用に関する調査~」

スモールビジネスにおいて人事評価をするメリット

モチベーションと書いた付箋とメモ帳

スモールビジネスにおいて人事評価をするメリットは次の通りです。

・従業員のスキルレベルが可視化される

・生産性と従業員のモチベーション向上

・離職率の低下

スモールビジネスでは人事戦略に課題を抱えやすいですが、それを解決できるのが人事評価だと言えるでしょう。

人事評価の評価項目

ビジネスマン3人の人事評価をある項目で比較すると右の1人が他の人より評価が高い様子

人事評価の評価項目は次の3つです。

評価項目概要具体例スモールビジネスにおけるメリットスモールビジネスにおけるデメリット
成果評価業務の成果に対する評価・営業成績・目標達成度・数値で目標を設定しやすくモチベーションアップに役立つ・会社の成果につながりやすい・失敗をおそれて新しいチャレンジをしなくなる
能力評価個人の能力に対する評価・資格・免許・定性的な能力(営業力・企画力など)・仕事で期待される能力が明確になる・成果を出さない人も評価されてしまう
情意評価仕事に取り組む姿勢に対する評価・リーダーシップ・責任感・積極性・帰属意識や愛社精神のある従業員を評価しやすい・評価者の主観に左右されやすい

3種類の評価項目は業種・職種により取り入れ方を変えて設計するのが望ましいでしょう。

人事評価の種類

集団の中で人事評価の高い人が1人だけいる様子

人事評価にはいくつかの種類がありますが、軸となる評価項目やスモールビジネスにおけるメリット・デメリットは次の通りです。

軸となる評価項目スモールビジネスでのメリットスモールビジネスでのデメリット
目標管理制度(MBO)・目標の達成度・組織として同じ方向を向いて目標設定するため成果につながりやすい・目標達成につながらない業務をしなくなる
コンピテンシー評価・社内で高く評価されている人材の行動特性・ロールモデルがいるので従業員が理解しやすい・誰をコンピテンシーとするかが難しい
360度評価(多面評価)・仕事上の関係者全ての評価・複数の視点で評価するため公平・誰が評価したかわかる
OKR・企業の目標から逆算した部署や個人の目標・達成の難易度が高くなるため(期待される達成度が60%~70%)従業員が成長しやすい・見直しやフィードバックに時間がかかる
ノーレイティング・上司との継続的な面談・環境が変化しても対応しやすい・評価者である上司の責任が重い
バリュー評価・企業が定めたバリュー(企業や組織で共有しなければならない価値観や方針)に基づいて行動したか・バリューを浸透させられる・客観的な評価が難しい
ビジョン実現型人事評価制度・「理念・目標・人材育成目標」の3点を定義したビジョン実現シート・個人と組織が両方成長できる・毎月アクションプラン会議を開催してアクションプランのブラッシュアップが必要

どのような人事評価にもメリットとデメリットがあるため、比較検討し自社の現状に合ったものを選ぶようにしましょう。

スモールビジネスにおける人事評価基準の作り方

複数の人で基準に基づき人事評価をしている様子

スモールビジネスにおいて人事評価基準を作る場合、外部のコンサルティングに依頼する方法と自社で作る方法の2つがあります。

しかし、自社で作るのは難しいと感じるなら株式会社KAKERUで人事評価基準を作るサポートをすることができます。

株式会社KAKERUでは、良い人事評価基準を作っている会社には次のような特徴があると考えています。

①ミッション、ビジョン、バリューがしっかりしている

②ミッション・ビジョン・バリュー実現のために各メンバーがどう行動すべきかの基準が明確にある

③①や②に基づいた目標設定(事業目標とメンバーの成長目標)がされている

ミッション・ビジョン・バリューを通して会社の上流から下流がしっかりとつながっていることが肝要です。

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一方人事評価基準を自社で作りたい場合は、次の手順を踏んで作るとよいでしょう。

人事評価制度の目的を決める

人事評価制度の目的を決めることで一貫性のある制度にできます。

目的の例は次の通りです。

・企業のバリュー浸透

・人材配置の最適化

・人材育成

・従業員満足度(ES)の向上

・採用活動の最適化

自社の現状に合った目的とは何かを考えてみましょう。

人事評価基準を決める

前の項目でご紹介した評価項目の取り入れ方を決めます。

全ての項目を無理に取り入れようとするのではなく、業種・職種により柔軟に設定しましょう。

人事評価の手法を決める

人事評価をする期間と担当者、また前の項目でご紹介した人事評価の種類から自社に適した手法を決めます。

従業員がなるべく公平だと感じられるよう配慮すると、モチベーションアップにもつながるでしょう。

人事評価に応じた報酬を決める

賃金制度や等級制度で人事評価をどのように反映するかを決めます。

人事評価が報酬に確実に反映されると示すことで、従業員が信頼できる人事評価基準となるでしょう。

まとめ

5人いるビジネスマンの中でもそれぞれ人事評価が異なる様子

人事評価とは人事施策の1つで、一定の期間における従業員の業績、勤務態度、能力をその会社で定めた基準で評価することですが、スモールビジネスでは従業員のスキルレベルが可視化され、生産性や従業員のモチベーション向上につながるのがメリットです。

この記事も参考にして、ぜひ自社に合った人事評価を行ってみてください。