企業文化の要素となるミッション、ビジョン、バリュー

企業文化とは?メリットから作り方まで詳しくご紹介

スモールビジネスにおいては、企業文化を作り浸透させていくことが企業活動に大きく影響すると聞いたけれど、どうしてなのかよくわからないと悩んでいる人はいませんか?

この記事では、企業文化のメリットから作り方まで詳しくご紹介します。

企業文化とは?

企業文化に染まる従業員

企業文化とは経営学用語の1つで、企業内で共有された価値観、行動規範、信念のことです。

オーストリアの経営学者であるピーター・ドラッガーは「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」という言葉を残しており、企業文化を作り変化させていくことが企業の未来を左右するため、企業経営には欠かせない要素とされています。

企業文化を変化させる要因には次のようなものがあります。

要因の種類概要
内的要因・企業の改革
外的要因・市場・社会情勢・国や地域の文化

企業文化は変化し続けますが、意図せず外的要因によって変化することもあれば、企業の改革によって意図的・戦略的にも変化させられるのが特徴的だと言えるでしょう。

企業文化と混同しやすい言葉

企業文化と混同しやすい言葉について、それぞれの意味をご紹介します。

項目概要作られ方変化の有無
企業文化・企業内で共有された価値観、行動規範、信念のこと・目的を持ち意識的に作られる・時間はかかるが変化する
企業風土・共通の思考や行動を生み出す企業独自の環境や性質・自然に作られる・あまり変化しない
組織文化・組織(企業とは限らない)で共有された価値観、行動規範、信念のこと・目的を持ち意識的に作られる・時間はかかるが変化する
組織風土・共通の思考や行動を生み出す組織(企業とは限らない)独自の環境や性質・自然に作られる・あまり変化しない
社風・従業員が感じる職場の雰囲気・企業文化、企業風土、組織文化、組織風土から作られる・あまり変化しない

「文化」は目的を持ち意識的に作られたものなので変化させることが可能ですが、「風土」は自然に作られるものなので変化させるのが難しいと言えるでしょう。

企業文化をスモールビジネスにおいて浸透させるメリット

企業文化をスモールビジネスにおいて浸透させるメリットは次の通りです。

・企業のイメージを作れる

・組織のチームワークを強化できる

・企業文化に共感した人材を採用できる

・離職率が低下する

・従業員が企業文化に基づいて意思決定できる

・企業文化に基づき自律的に行動する従業員が増える

・顧客が企業文化に共感して商品やサービスを購入してくれるためリピートしてもらいやすくなる

・企業文化に共感した顧客が口コミなどで商品やサービスの良さを発信してくれる可能性が高まる

企業文化を浸透させるのは、スモールビジネスにおいて社内の従業員だけに良い影響を及ぼすだけではなく、自社の商品やサービスを愛用してくれる顧客作りにも役立つことがわかります。

企業文化をスモールビジネスに浸透させるデメリット

企業文化をスモールビジネスに浸透させるデメリットは次の通りです。

・企業文化にこだわりすぎて新しいアイデアや多様性を認められなくなる

・社外との乖離が進む

・不健全な企業文化が浸透すると社会からの信用を失うリスクが高まる

スモールビジネスにおいては企業文化を浸透させる前に、それが健全で社外との乖離を生むものではないかを検討するのが重要だと言えるでしょう。

スモールビジネスにおける企業文化の作り方

企業文化を話し合う様子

スモールビジネスにおける企業文化の作り方を3STEPでご紹介します。

【STEP1】企業文化の構成要素について知る

企業文化を作る前の事前準備として、企業文化は何からできているのかを知っておきましょう。

企業文化の8つの構成要素をご紹介します。

企業文化の構成要素概要
ビジョン(Vision)・企業としての展望や理想
ミッション(Mission)・企業が果たさなければならない使命
バリュー(Values)・企業や組織で共有しなければならない価値観や方針
慣行(Practices)・ビジョン、ミッション、バリューが落とし込まれた日常的・継続的な行動
人材(People)・企業文化に共感する従業員
ストーリー(Narrative)・企業の歴史を物語るエピソード
場所(Place)・創業、本社、拠点などの場所
外部からの影響(Environment)・企業を取り巻く外部環境

企業文化が企業によって大きく異なるのは、これらの構成要素の内容が企業によって違うからだと言えます。

【STEP2】現在の企業文化を可視化する

企業文化の構成要素を踏まえて、現在の企業文化を可視化しましょう。

自社の企業文化を把握する

最初に全従業員に対するアンケートやヒアリングを通して、企業文化の現状を把握します。

共有された価値観、行動規範、信念について聞きますが、「会社が大切にしている価値観は何ですか?」、「自分が評価されていると感じる行動は何ですか?」、「社内で共通する信念は何ですか?」といった聞き方をすると質問の意図が伝わりやすいでしょう。

ビジョン・ミッション・バリューを定める

企業文化を構成する8つの要素の中で、ビジョン、ミッション、バリューを定めていない場合はこの時点で策定しておきましょう。

ビジョン・ミッション・バリューを策定する方法についても詳しく知りたい方は、次の記事もごらんください。

ビジョンを策定したい方はこちら

ミッションを策定したい方はこちら

バリューを策定したい方はこちら

企業文化を文章にする

ビジョンを通して理想とする企業文化を考え、現状の企業文化と合わせて良い部分は残しながら、新たに目指したいものや大切にしないものを盛り込んだ企業文化を文章で作成しましょう。

文章を作成することで、従業員は企業文化を意識して行動することができ、社外の人にもわかりやすく伝えることができます。

【STEP3】企業文化醸成する

企業文化を醸成し浸透させる方法を5つご紹介します。

企業文化についての研修をする

文章化した企業文化をより深く従業員に理解してもらうために研修を行いましょう。

従業員が研修で企業文化を定めた背景や具体的な意味を知ることで、企業文化を基にどのように行動すればよいかイメージしやすくなります。

マネジメント層が企業文化に沿った行動をする

研修で学んだ企業文化は、マネジメント層が率先して行動に落とし込みましょう。

マネジメント層が企業文化に基づいた行動ができるようになったら、マネジメント層がチームメンバーに企業文化を基にした行動をするよう働きかけたり、チームメンバーがマネジメント層の行動を見て共感したりすることで、少しずつ企業文化が浸透していきます。

企業文化に沿った人事評価制度を作る

従業員が企業文化に沿った行動を取れるようになっても、それを評価する制度が整っていなければ企業文化の浸透は止まってしまいます。

企業文化に基づいた行動をした従業員が評価されるよう、人事評価制度や人事評価の基準を変えていくことが重要です。

企業文化に沿った採用を行う

継続的に従業員へ企業文化を浸透させるためには、採用活動においても企業文化に共感してくれる人材を積極的に採用するのが望ましいでしょう。

従業員を採用する時に企業文化を意識してもらうことで、採用後も企業文化に沿った行動を自然に行ってくれるようになります。

企業文化に合った環境整備をする

事務所の環境も企業文化を実現しやすく整えるようにしましょう。

例えば新しいビジネスアイデアを積極的に採用する企業であれば、フリーアドレス制を採用すると新しいアイデアが浮かびやすくなります。

参考にしたいスモールビジネスにおける企業文化の具体例

企業文化に染まる従業員

サンフランシスコに本社があり、Facebook のエンジニアリングチームのリーダーとして出会ったDustin Moskovitz と Justin Rosenstein の2人が始めた会社のAsanaは、企業文化を「The Asana Culture Code」としてホームページで公開しています。

創業者の2人が、自分たちが作ろうとしているものを示す言葉である「Asana=仕事に安らぎと集中、フローをもたらすもの」を会社名に選んだことからも、Asamaでは起業当初からビジョンをはっきりと持って企業文化の醸成に力を入れてきたのがわかるでしょう。

Asamaは今やグローバル企業として、フランスや東京、シンガポールなどさまざまな国に展開していますが、多様性を認め世界中でビジネスをするために必要な企業文化の作り方をブログ記事でも発信しています。

スモールビジネスを立ち上げ、大きな会社へと変化させていく上で企業文化が果たす役割がわかる具体例だと言えるでしょう。

参考:The Asama Culture Code

参考:Asama「チームスポットライト:Asana の成長とインパクトのチームがグローバルな企業文化を形成する方法」

株式会社KAKERUでは企業文化醸成についてのご相談をお受けしています

株式会社KAKERUでは、スモールビジネスにおける企業文化の作り方からその醸成についてのご相談をお受けしています。

企業文化を作るためには記事でもご紹介した通り、前段階で構成要素であるビジョン・ミッション・バリューを整えておくことが重要ですが、株式会社KAKERUではこの段階からサポートを行っているのです。

企業文化を策定したいけれど、ビジョン・ミッション・バリューに盛り込みたい内容がまとまらない、何から始めてよいかイメージがわかないなど言語化しにくい相談についても丁寧にヒアリングを行います。

企業文化の策定から醸成まで一貫したサポートをご希望の方は、ぜひ次のページもご覧ください。

”〇〇”がさらに楽しくなる仕掛けを創る – 株式会社KAKERU (kaxeru-office.com)

まとめ

企業文化とは経営学用語の1つで、企業内で共有された価値観、行動規範、信念のことを指し、浸透させると中小企業にとって社内の従業員に良い影響を及ぼすだけではなく、自社の商品やサービスを愛用してくれる顧客作りにも役立ちます。

この記事も参考にして、ぜひ自社の企業文化醸成に力を入れてみてください。